個人情報の「横並び」過保護

■今朝の日本経済新聞『経済教室』欄は、「個人情報保護に行き過ぎ」というテーマだった。筆者である青柳教授の主張は、保護すべき個人情報は飽くまでプライバシーにかかわる範囲に限定すべき、というものだ。例示として、先日のJR福知山線脱線事後で負傷者の搬送先の病院が、個人情報保護法を理由に、搬送された負傷者の氏名開示を拒否したことがあげられている。
この病院の対応は明らかに行き過ぎで、個人情報保護法上も第二十三条第2項に次のようにはっきりと書かれている。「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」。
筆者の青柳教授が問題にしているのは、このような日本社会の過剰反応である。僕もまったくその通りだと考える。病院だけでなく民間企業も、この法律に明らかに過剰な反応をしている。
個人情報の漏えいがあった場合、あたかも企業がすべての責任をとらなければならないかのように、この法律を解釈し、必要以上のセキュリティ対策を実施して従業員をがんじがらめにしている企業・組織は少なくないだろう。まるで、しっかり戸締りをしていても、泥棒に入られれれば入られた家の責任だ、と言わんばかりの、個人情報の過保護が広がりつつある。実際には泥棒こそが窃盗罪で起訴されるべきなのだ。
今年2005年4月に施行されたばかりの法律なので、当面は「過保護」が同業他社に対する差別化要素になるだろうが、いかにも日本人らしい「横並び意識」による過剰投資合戦にならないか、不安である。
と、言いながら、僕も一組織人としては、同業他社が「過保護」施策に出てきた場合には、対抗して「過保護」施策を取らざるを得ない立場にあるわけだが。