虚しい「顧客満足度調査」

■日経コンピュータに毎年『顧客満足度調査』という記事が掲載されている。最近2005/08/08号の第10回調査を読んで改めて考えたのだが、この調査、果たして掲載する意味があるのだろうか。テーマが「顧客満足度」だから仕方ないとはいえ、記事の内容はユーザ企業が一方的にベンダー企業を非難する内容で、完全にバランスを欠いている。
一つのシステムを構築するとき、ユーザは要件を明確に定義して明文化する、SEはその要件に対して最適な解決を提供する、といった具合に、両者にそれぞれの責任範囲がある。
第10回の調査では、たとえば5年以上もまえから自社担当になっているSEについて、社会人としての常識さえないと愚痴をこぼしているユーザ企業があった。しかし、そんなに気に入らないなら本気でベンダーと交渉すればいい。逆に言えば、本気になって交渉してこないユーザ企業だからこそ、ベンダーは問題を認識しないのだ。黙っていても状況を改善してくれるというのは、ユーザ企業側の情報システム部門の責任不履行である。
また、ベンダー企業のSEが入れかわり立ちかわりするために、いつまでたっても業界特有の商習慣を理解してくれないと嘆いているユーザ企業があった。しかしこの企業は業務プロセスを文書化する努力をしているのだろうか。新しいSEが担当になるたびに、そのユーザ企業の担当者から口頭で講義を受ける必要があるのでは、そんな企業を担当したがるSEが出てこず、結果としてSEの定着が悪くなるのは当然だ。担当SEが定着しないことにはユーザ企業の受け入れ体制にも原因がある。
このように、システム構築にかかわる両者それぞれに、どのような問題があるのかを明らかにしなければ、よりよいシステム構築につながらない。『日経コンピュータ』にはぜひ、ベンダー企業側にアンケートを実施した「仕事がしやすいユーザ企業、しにくいユーザ企業」という特集も毎年恒例にしてほしい。ユーザ企業の立場に偏った分析は、読んでいてただ虚しさだけが残る。