『積木くずし』とブリーフセラピー

■仕事や難しい本の息抜きにはテレビがいちばんということで、フジテレビ系二夜連続ドラマ『積木くずし真相~あの家族、その後の悲劇~』を見ていた。主題歌は2004/10発売の平井堅のヒット曲の使いまわしということで、二夜連続ながらフジテレビのこのドラマに対する力の入れ具合がよく分かる。
ただ、演出は思ったほど露骨ではなく、例えば安達祐実が母親の自殺を発見する場面で、畳に広がる血糊につま先が浸るクローズアップのカットから引いていくシーケンスなど、すべてにわたって意外に抑制が効いていた。ラストで舘ひろしが娘の遺書であるノートを抱えながら、海に入っていくシーンだけは頂けなかったが。
演出家の林徹氏の過去の作品を調べてみると、『大奥』『ナースのお仕事』『悪魔のKISS』『101回目のプロポーズ』。う~ん、これってどうなんだろう。娘の葬儀で、広間に思わぬ数の友人知人が集まっている場面、カメラがゆっくり引きながら、これ以上引ききれないというところでもまだ群衆がフレームからはみ出している、という演出も正直「いいな」と思ったのだが。
演出の良し悪しはさておき、このドラマについて書こうと思ったのは、武田鉄也演じる警視庁少年課相談技官が、「不良」になった娘にどう対処するかについて、父母に与える指示の内容が興味深かったからだ。このあたりは最初の『積木くずし―親と子の二百日戦争』の内容になるが、この相談技官の指示の内容がまさに、ブリーフセラピーの考え方に共通していたのだ。
実話として穂積隆信氏の娘が問題行動をとっていたのは1980年代の前半だが、その頃にこの相談技官は、「家族の過干渉こそが子供の問題行動を助長する原因である」という考え方を明確にもっていたことになる。家族療法の最新の成果を現場に導入していたのか、長年の経験から独自にこの手法を編み出したのか、そのあたりはさだかでないが、娘の問題行動が比較的短期に解消したのには、この相談技官の果たした役割がかなり大きかったのではないか。
でも、武田鉄也はこの手の指導的立場の役をやると、すべからく金八先生になってしまうのが悲しい。