『難事例のブリーフセラピー』

■ブリーフセラピー関連書として『解決のための面接技法―ソリューション・フォーカスト・アプローチの手引き』『難事例のブリーフセラピー―MRIミニマルシンキング』を読んだ。
前者は学生向けテキストといった感じで、ミラクルクエスチョンやスケーリングなどの基本的な技法が、セラピーの実録とともにていねいに解説されている。巻末には技法を簡潔にまとめたガイドまで付いているという心配りの細かさ。後者は過食症や自傷癖など、より深刻な事例にブリーフセラピーを適用した実例が豊富に引用され、問題解決指向の心理療法と、解決構築指向のブリーフセラピーがいかに異なるかがっはっきりわかる非常に興味深い書物だ。
直線的な因果律を前提とする限り、心理療法は過去の原因となる出来事へとさかのぼる。しかしブリーフセラピーは、原因と結果の循環を前提とし、心の病は人と人との相互作用であると考える。「なぜ」と問う代わりに「何を」と問う。これから何をするのかを問うのだ。
過食症の女性の症状を悪化させているのは、必死で食べさせようとする母親であり、ブリーフセラピーはその同じ母親が娘に「食べさせない」ような態度をとるように介入する。過食症の原因を本人の心の中にさがし求めることで解決しようとするのではなく、二人の人間の相互作用を別の何かに変えることで問題を解消しようとする。
ジャック・デリダへの言及があるという関連書『解決志向の言語学―言葉はもともと魔法だった』もぜひ読んでみたい。