玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安』

玄田有史著『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』(中公文庫)を読んだ。ひとことで要約すると、NEETの発生は中高年会社員の雇用確保のために企業が新卒採用を抑制したことが最大の原因で、定年延長が法制化されると若者の雇用環境はさらに厳しくなる、ということが書いてある本だ。
しかし、おそらく中高年の会社員たちは、NEETは自立心を欠いた若者が親に甘えているだけだという考え方をそう簡単に改めないだろう。四十代、五十代のおじさん世代が、プライドや男らしさや家族の養育など、さまざまな口実をつかって、もっとも既得権益をうばわれることに敏感であることは確かだからだ。
若い頃に実務を通じて仕事のスキルを身につけられなかった若者が増えることは、日本経済にとって将来、致命的な損失になる。しかし、だからこそ四十代、五十代のおじさんたちは、NEETを心ひそかに歓迎するに違いない。若者に追い越される恐怖から晴れて自由になるからだ。おじさん世代は永遠であり、若者は労働者としてのスキルを欠いたまま、一生、低所得に甘んじる。玄田氏の提言を実行に移さない限り、そうなることは確実である。