鉄道の安全と衆愚

■2005/06/17付けの共同通信配信のニュース。2005/06/04、午後3時過ぎ、JR中央線の国分寺駅で強引な駆け込み乗車をした乗客に対して、車掌が車内放送で「駆け込み乗車はおやめください。そのような乗り方でけがをした時は、お客さまの責任になります」と注意した。この放送についてJR東日本が行き過ぎた内容だったと謝罪したという。
僕にはJR東日本が謝罪しなければならない理由がまったく分からない。危険な駆け込み乗車をした上に、電車の発車を遅らせて、遅延回復のために速度を上げる運転を運転士に強要する原因を作ったのは、この乗客の方だ。こんな自己中心的な行為が、顧客として当然の「権利」であるかのように履き違えられていることこそ、鉄道の安全性に対する大きな脅威になっている。他の乗客にとってはいい迷惑だ。
少し前に起こった東武伊勢崎線の「開かずの踏切」での死亡事故にしても、踏切前で待たされている横断者が踏切の開閉を担当していた社員に対して、日常的に「早く開けろ」などの文句を言っていたという。ここにも顧客の理不尽なわがままが許され、社員が安全を守る立場として毅然とした態度に出ることが「悪」であるかのような了解ができあがってしまっている。
危険行為に対する当然の注意や管理を、逆に鉄道会社側が引け目に感じなければならないなどという主客転倒がまかりとおっているのでは、いくら鉄道会社が安全管理を行っても、乗客みずからそれを骨抜きにしているようなものだ。まさに「衆愚」の典型例である。