「現実」と「理念」の往還

■JR西日本脱線事故中のボウリング大会についてまた別の読者の方からご意見があり、企業イメージを損ねる行為であることを知りながら娯楽に興じたのは不作為による過失であり、企業としてのリスク管理上問題があるという主旨だ。確かに事実としてJR西日本はバッシングされているのであり、事故中のボウリング大会が企業イメージ毀損リスクになってしまうのもまた事実である。現状追認の観点からするとボウリング大会を続けた判断はもちろん誤りだ。
すでにお分かりの通り、僕は現状追認の水準ではなく「理想」の水準で議論をしている。リスク管理の文脈で言えば、偽善に満ちたマスコミが大企業を袋叩きにする日本社会そのものがリスクを規定している。リスクはコントロールできるが、リスクの原因である日本社会はコントロールできない。リスク管理に限らず企業のあらゆる種類のマネジメント、ひいてはビジネスというものが本質的に現状追認を基盤とする保守的なものだ。
ただ、ここで思考停止したのでは「あるべき姿」の水準で思考を作動させている「think or die」の存在意義がない。そしてビジネスも「あるべき姿」からの呼びかけに答えることを忘れては、変革の契機を完全に失うことになる。