インターネットというメディアの計画不可能性

■ライブドアのニッポン放送買収劇について、ライブドアはラジオとインターネットの融合について、具体的で革新的な提案を出来ていない。だから買収提案に説得力がないという議論がある。インターネットとメディアの融合など10年前から言われていることで、AOLによるタイム・ワーナー買収も失敗したじゃないかという意見も聞かれる。
しかし当時とは通信回線の速度やインターネットの普及度からして、状況がまったく違っている。そもそもインターネットというビジネスは、基盤整備が安価でお手軽なので、綿密な計画に基づいて厳密にコントロールされた事業展開にはなじまない。旧来のメディアのように番組一本作るにしても数千万円単位の多額な投資が必要であれば、なるほど事前に明確な提案を示すことも必要だろうが、インターネットは最初から不特定多数の匿名性の高い利用者が参加しているメディアで、事前のコントロールが効くような性質のメディアではない。
したがってライブドアのラジオとインターネットの融合に関する提案に具体性が欠けているのは、かえってライブドアがインターネットというメディアの性格をよく知っていることを示している。ライブドアの提案は具体性に欠けると批判する人たちは、一つひとつの番組の投資規模が大きいテレビ、ラジオのようなメディアと、インターネットの違いを理解していない。
さらに言えば、インターネットの原理なんてひとことで説明できてしまう、ひどく単純なものだ。しかしその単純な仕組みが人々の生活に定着するにつれて、予想もつかない変化が、気づかないところでじわじわと起こってきた。インターネットのもたらす変革とはそういうものであって、街頭テレビがたちまち戦後の一般大衆に熱狂を作り出したような性格のメディアとは違うのだ。ニッポン放送やフジテレビの経営陣、そしてライブドアの提案に具体性がないと批判するすべての人たちは、こういうことが分かっていない。