企業文化を融合する努力の悲劇

■某輸送機器メーカーの外国人社長が昨日また公の場で謝罪をしていた。社長就任以来、謝罪しどおしで気の毒な限りだ。今回、車両の欠陥についての報告が半年も遅れたのは、いかにも歴史ある財閥系日本企業らしい完璧主義と、歴史ある欧州企業らしい形式的合理主義の相乗効果だ。
財閥系日本企業の組織は、内部的な報告でも拙速は許されない。上への報告はスピードより中身の完成度、どれだけ上に配慮した中身になっているが重視される。その一方で、資料の形式的な美しさは重視されない。しかしダイムラーのような欧州企業では、ビジュアル面の訴求力も重視される。
その結果、このメーカーの社員は、上への配慮に満ちた中身の完成度と、外見的な完成度の両方を求められ、なおかつ現場の社員は極めて生真面目な人たちばかりなので、上からの要求に精一杯答えようとする。そうして、対外的な報告に気が回らないまま、半年間も遅れたのは当然といえば当然である。この報告プロセスには一点の悪意もない。おそらくこのメーカーは日本的完璧主義と欧州的完璧主義を融合させようと必死になっているに違いないが、そんなことをやっている限り、今回のように対外的な視点がおろそかになることは避けられない。
日本人社員は日本的完璧主義を捨てて、欧州的に「手を抜く」ことをおぼえ、「仕事をしないことが仕事である」という考え方を実行に移さなければならない。そうやって仕事のスタイルを大株主である欧州企業側に寄せていかなければ、同じような問題はこれからも繰り返されるだろう。