政治的圧力に敏感な組織

■NHKの会長が辞任した直後「後進の育成」という理由で顧問に就任したが、抗議の電話が殺到して新会長があわてて本人の希望という形で取り消したという騒動。番組改変問題とは直接関係ないが、顧問就任取り消し会見で記者が質問していたように、元会長の顧問就任に抗議が殺到することなど誰でも予想できることだ。それさえ予想しなかった、あるいは予想しても押し通そうとしたのだとすれば、やはりNHKの経営陣は視聴者よりも、自分たちの上の権力者を重んじていると非難されても仕方ないだろう。
もちろん権力者寄りの放送局があっても構わないのだが、公共放送局がここまであからさまに権力者寄りであることは許されない。本来ならNHKは事業収入の9割以上を占める受信料を受け取っている事実を逆手にとって、視聴者を味方にして権力者に対抗する戦術をとりやすいはずだ。「あんたが圧力をかけると受信料の支払い拒否がもっと増えますよ、それでいいんですか」という具合に。これこそ経営陣が様々な圧力に対する自律性を確保するためのもっとも経済合理性のある戦術だろう。
なのに、実際支払い拒否が広がっているにもかかわらず、元会長を顧問に就任させるなどということをやってしまうのは、経済合理性以外の理由で意思決定が行われていると判断せざるをえない。それが何かと言ったら政治的圧力しかないだろう。NHKという組織は、会長を辞して部外者になった人物でも政治的圧力をかけられるような、政治的圧力に対する感受性の高い組織であると考えるしかないだろう。視聴者からの意見に対する感受性は極端に低いけれども。