福島拓哉『自由』『JAM』

■福島拓哉監督『自由』(2003年)をDVDで観た。37分の短編映画で、同じDVDに短編『JAM』(1999年)も収録されている。この監督の作品は初めて観るのだが『JAM』の完成度は期待以上だった。プロデュースのP-kraftは映画制作・配給・上映のサイクルを自社のみで完結することを目標に結成されたクリエーター集団のようで、映像作品の受注もしているらしい。そのせいかデジタルビデオ作品のわりに、シーンごとの露出やデジタルエフェクトはよく考えられており技術的な完成度は高い。
俳優としての福島拓哉氏の演技もまったく不安なく感情移入させる。脚本もうまい。ただ『自由』については前半の女子高生の挿話部分は凡庸すぎるし、主役の女優にも不満が残る。前半の展開でヤマになる「事件」は映画の脚本としては平凡に思える。あの男子高校生がなぜ「事件」を起こすまでに至ったのかがまったく描かれず、女子高生が「事件」に巻き込まれた必然性が見えない。結果として、走る女子高生のシーケンスも、せっかくの移動撮影も含めてやや上滑りになっている。
それに対して後半は矛盾した男女の関係が、強い説得力で書きこまれていて素晴らしい。このDVDを観るなら『自由』の後半と『JAM』だけでいい。『JAM』はたった30分に濃密な主題性とスタイリッシュな映像・音楽が凝縮されて、ムダなところがない。強いて言えば主人公とその「兄貴」の具体的な挿話が一つ脚本に入っていれば完璧だと思われる。ラスト、暗転してからのセリフの残り具合も絶妙で、思わずクール!と叫んでしまいたくなる。同監督では『PRISM』というDVDも発売されているが、残念ながらサイコサスペンスで僕には観ることができない。