矢口史靖・鈴木卓爾『パルコフィクション』

■矢口史靖監督、鈴木卓爾監督の短編オムニバス『パルコフィクション』(2002年)を観た。先日、矢口監督の長編作品はすべて観たと書いたが、短編が残っている。そのうち『ウォーターボーイズ』と『スウィングガールズ』の間に撮られたのが本作。
二人は『裸足のピクニック』『ひみつの花園』と共同で脚本を書いているが、本作のVHS版に収録されているメイキングから、二人の盟友ぶりがうかがえて興味深い。矢口監督が鈴木監督の撮影風景を家庭用ビデオカメラで撮っているのだが、鈴木監督が「今日、撮りきれるかな。撮り残しがいちばんイヤだな。時間が足りないよ」とビデオカメラのこちら側にいる矢口監督に話しかけ、矢口監督が「鈴木は現場主義だからね。現場で何が起こるかにあわせる。ボクはコンテ主義」と答えていたところが印象的だった。
たしかにメイキングを見ていると、矢口監督は現場でも絵コンテをもって赤鉛筆で加筆しながら演出している様子だが、一方の鈴木監督は俳優やスタッフと話しながらシーンを作っていっている印象があった。作品そのものはナンセンス全開のスピーディーなコメディーばかりで単純に楽しめる。最後の第5話はナンセンスさとラブストーリーのバランスが絶妙な鈴木作品。夜の大きな階段のシーンは印象的で秀逸。他の作品もそうだが、鈴木脚本は強烈な個性を持っていて、わかる人はハマるけれども、『スウィングガールズ』や『ウォーターボーイズ』のような一般ウケする映画にはなれない。商業的な成功とは無縁の作家主義的な作品だと言える。興味深いオムニバスだった。