犬童一心『ジョゼと虎と魚たち』

■犬童一心監督『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)を観た。最近の矢口監督作品のうち『ウォーターボーイズ』(2001年)主演男優と『スウィングガールズ』(2004年)主演女優が出演しているというだけの理由。上野樹里は実年齢より4、5歳上の大学4年生と卒業1年後を演じている。
本作は大阪が舞台(ロケは東京)で上野樹里は地元の関西弁で演じているが、『チルソクの夏』『スウィングガールズ』の純朴な女子高生とはまったく違う、計算高い優等生だが女性的な弱さも(なんて書くと差別的な表現だが)垣間見せる女性を淡々と演じて、池脇千鶴演じる気丈な下半身障害者と好対照をなしている。
本作で妻夫木聡が演じる男は、観ようによっては本能だけで生きるそうとうひどい奴ということになるが、それでもいやらしさが出ないのは、妻夫木自身がもつ嫌味のなさだろう。池脇千鶴はひとこと、うまいとしか言いようがない。ラストのカット、人生を悟りきって10歳くらい一気に年をとってしまったかのような表情は、さすがだと感じさせる。という具合に俳優のことばかり書いているのは、おそらくこの監督はうまい俳優がいてこその映画監督だと考えたからだ。