李継賢『思い出の夏』

■昨日は日比谷シャンテシネで『やさしい嘘』(2003年)を観て、その夜はTSUTAYAで借りてきた李継賢(リー・チーシァン)監督『思い出の夏』(2001年)を観た。中国映画である。原題は『王首先的夏天 High Sky Summer』で、主人公の少年、王首先の夏の空という意味だ。
中国山西省の小さく貧しい村に北京から映画の撮影隊がやってくる。村でただ一つの小学校に通う子供たちと撮影隊との、夏の短い期間だけの交流を描いた映画で、キャストは2人を除いてすべて素人。子供たちはほんとうに中国の農村に暮らす子供たちらしい。この映画そのものが脚本の内容とダブり、なかばドキュメンタリーのような作り方の作品になっている。演出は全体としてやや中国映画らしいクドさはあるけれども、主人公の少年は、まったくの素人にどうやってここまでの演技をさせたのだろうと驚くほどだ。広大な自然をいかしたロングショットが印象的で、すこしキアロスタミを思わせるようなところがあった。
しかし撮影隊の助監督が道に迷った少年をついに見つける場面など、場面によっては人物に寄るべきではないかと思ったところもある。また、ラストのビデオ映像の長い引用は、すこし監督自身の感傷が入りすぎではないか。いずれにせよ力強い倫理観に裏づけられたこのタイプの中国映画は、退廃的な中国映画よりは個人的に好きだ。