『Good Luck』ベストセラーもう一つの理由

■『Good Luck』という本がベストセラーになっている理由だが、もう一つ、こちらの方が真実に近いんじゃないかという理由が見つかった。それは、名作が読まれなくなったことだ。
『Good Luck』に書かれているような教訓は、偉人の伝記を一冊でも読めば十分学べると思う。昔で言えば三木清とか亀井勝一郎とか(ちょっと古すぎるか)、もっと昔で言えば武者小路実篤とか、その手の人生についてのいわゆる「名作」がまったく読まれなくなっていることが本当の理由ではないか。
『Good Luck』のような「自己啓発系」の書物は、名作が読まれなくなった現代にあって、名作のお手軽な代役を果たしているのだ。『Good Luck』も別に妙なことが書いてある分けではなく、人生論としては極めてまっとうだ。ただ、たった一つの教訓を言うために丸一冊の本を費やすのは森林資源に優しくない。『Good Luck』を読んで感動した高校生くらいの人たちには、ぜひ小林秀雄の『考えるヒント』とか、そのあたりの名随筆も読んで欲しいものだ。