『Good Luck』ベストセラーの理由

グリーンの表紙の『Good Luck』という本がベストセラーになっているのはご存知だと思うが、それこそ幸運なことにタダで読める機会があったので10分くらいで読み終えた。
日本人なら「人事を尽くして天命を待つ」のひとことですむ教訓を、出来の悪い寓話で説明した本で、このWebサイトの読者は当然まったく読む必要はない。なぜこんな本がベストセラーになったのか、その原因を考えてみた。というのも、単に広告宣伝が成功しただけではなさそうなのだ。
Amazon.co.jpの書評を見ると、この本に感動している人たちが現に存在する。僕が考えた原因は主に3つ。(1)言われている以上に今の日本にはウツ病の人が多い、(2)まともな道徳教育をうけずに育った人が増えてきた、(3)単に怠惰な人が増えてきた。
まず(1)だが、この本を読んで感動するというのは、よほど日頃気持ちの沈んだ生活を送らざるを得ない人だろう。ウツ病はカゼと同じように薬で治るということを、国はもっと真剣に宣伝した方がいい。
つぎに(2)については、子供に基本的なしつけができる大人が減ったために、社会人になってから突然、本書のようないわゆる「自己啓発書」で道徳に目覚める日本人が増えたこと。電車の中で子供を叫ばせっぱなし、遊ばせっぱなしにしている、いい年をした中年たちを見れば、彼ら自身、生きるうえで基本的な道徳観をまったく身に着けてこなかったことがわかる。そういう日本人が増えたために、こんな本がベストセラーになってしまうのだ。
そして(3)は、高齢化社会や環境問題、テロなど、どうせ努力しても明るい未来はないとあきらめて怠惰にならざるをえない日本人が増えているということだ。『Good Luck』がベストセラーになる日本というのは、かなり深刻な状態になっているのではないか。そう考えると『Good Luck』という本は、その存在自体が一種の社会派ホラーと言えなくもない。