小泉首相が本当にやりたいこと

■郵政三事業の民営化で、総理大臣は自民党内の逆風を受けている分、国民の支持を得やすい立場にある。ただじっさいには総理大臣が推進している民営化は、政府の手厚い保護を受けた郵政公社が、ヤマト運輸などの民間企業を圧迫するというすがたになっている。
小泉総理大臣は、日ごろから郵政三事業の民営化、民営化と、異常なほど熱心にさけんでいるわりに、とても中途半端な民営化を許している。小泉首相が本当にやりたいことは、民営化そのものではないとしか考えられない。郵政三事業の民営化は、小泉首相イコール正義の味方、自民党内の保守派イコール悪者、という、わかりやすい対立の図式を国民に示して、自分の政権をすこしでも長く維持するための、たんなる道具立てにすぎないと考えるのが合理的だ。
では、小泉首相が本当にやりたいこととは何か。たぶん憲法改正、とくに第九条の改正だろう。だれもがしっているように、小泉首相はバリバリのタカ派で、ほんとうは自衛隊を正規の日本国軍にしたくてしょうがない。でも、それを実現するには、まず、憲法を改正しなければならない。憲法改正までは、ぜったいに政権の座を明け渡すことはできない。憲法改正まで、政権を維持するための「つなぎ」が必要だ。その「つなぎ」として、つまり、国民の支持をつなぎとめておくための道具として、郵政三事業の民営化はうってつけだった、ということだ。
たぶん小泉首相は、本当は完全民営化するつもりなどまったくない。民営化を言い出すことで、保守派を挑発し、保守派が怒りだしたら、「ほら抵抗勢力だ。抵抗勢力と小泉とどっちかいい?」と国民に問いかける。国民は当然、「どっちか取れと言われれば、そりゃ小泉首相だ」ということになる。いまのところ第三の勢力である民主党は、政権をとれるまでの政党になれていないので、小泉首相は安心して保守派との対立を、自作自演で思い存分あおることができる。そしてそうやってあおっていられる間は、自分の政権は維持できる。自分の政権が維持できれば、何とか憲法改正を国会に通すことができる。最終的には自衛隊の軍隊化までたどりつけるかもしれない。これこそが、小泉首相の「本当にやりたいこと」なのだ。