名曲喫茶「ライオン」

■そういえば先日、会社の同僚に連れられて、渋谷にある『ライオン』という「名曲喫茶」に初めて入った。
道玄坂から横道に入った百軒店という、今は風俗店ばかりの商店街にある古びた建物で、昭和元年創業の老舗らしい。店に入るといきなり目に飛び込んでくるのは、吹き抜けの天井にまで届く大型スピーカーだ。店内の座席はすべてそのスピーカーに向かってならんでいるので、喫茶店というよりはライブハウスのような配置になっている。
入店したとき偶然にも僕お気に入りのベートーベン交響曲第七番がかかっていて、第三楽章から第四楽章を2階席でじっくり堪能できた。大音量ながら音がまったく割れず、楽器の一つひとつまで聴き分けられそうな音質で、ワーグナーが「舞踏の神化」と評したノリノリの交響曲を思いがけず味わうことができた。同じようなクラシックを聴かせる名曲喫茶が、たしか学生時代、渋谷109-2の地下にあったはずだと思ったが、こちらは「名曲喫茶らんぶる」という店で、2002年にすでに閉店しているらしい。
そりゃ109-2といえば今や「Junior Station」という名前がついているくらいで、中身はANGEL BLUE系のショップでいっぱい。とてもクラシックファンが近寄れるような雰囲気ではなくなっている。渋谷駅のどまん前なんだから、名曲喫茶を追い出してANGEL BLUEを入れた東急の判断は完全に正しい。