携帯電話で『或る女』を読む

■最近、携帯電話でも「青空文庫」が読めることが分かった。青空文庫というのはご承知のとおり著作権の切れた文学作品をネット上の有志のみなさんが入力し、電子ファイル化して公開しているものだ。パソコン版の「青空文庫」は独立したWebサイトになっているが、携帯電話用は「電子書店パピレス」というオンラインで読み物や写真集が購入できるサイトの一部になっている。
何の飾りもないテキストファイルをダウンロードするだけだろうと思っていたら、ちゃんとezアプリになっていて、テキストを読んでいる途中で文字の大きさを三段階に調節できたり、読み差した場所をちゃんと記憶して、次に起動したときは自動的にその部分に位置づけてくれたり、電車の中からトイレの中まで、少し時間ができたときにいつでも続きを読めるので非常に便利だ。
僕の携帯電話には16MBのminiSDが入っているので、記憶容量には余裕がある。と言っても、いま携帯電話で読んでいる有島健郎『或る女』は全編ダウンロードしても1MBに満たない。現在僕がつかっているauの携帯電話では、最小のフォントが小さすぎ、次のフォントが大きすぎて、それらの中間がない。そのため頻繁にスクロールしなければならないのが難点だが、携帯電話でこうして長編小説が手軽に読めるのであれば、いまソニーなどが必死で拡販している携帯型電子ブックなどまったく必要ない。これは断言できる。電子ブックなど作るのはやめて、より大きく高精度な液晶を搭載した携帯電話を開発する方が、電子ブックへの近道のような気がするのは僕だけだろうか。