田宮二郎主演『白い巨塔』

■そういえば先日、田宮二郎主演のテレビドラマ『白い巨塔』最終回を偶然目にする機会があった。まだ小学生だった僕の脳裏にトラウマのように焼きついていたシーン、財前五郎が洗面所の鏡をのぞきこんで、目の下にできた隈と手のひらの黄疸から、癌の進行を確証する場面に、二十五年ぶりに再会できた。
今見ると田宮二郎の演技はまったく過剰で、鬼気迫るというより滑稽なくらいで、最後の場面、白いシーツに覆われた財前の遺体が病院の廊下(この廊下の狭いこと)を進んでゆくシーンで朗読される財前の遺書も、「反省」という言葉が登場するほど単純な勧善懲悪劇になってしまっている。つまり「悪い」医者だった財前が、自ら癌に侵されることで「反省」「改心」したというわけだ。
その単純さはリメイク版の『白い巨塔』以上で、興冷めですらある。小学生の僕は財前が鏡をのぞきこむシーンを見た後、自分でも鏡をのぞきこんで、その頃から中学受験の勉強を始めたために目の下に出来はじめた寝不足による隈を発見し、自分ももしかすると癌かもしれない、余命わずかかもしれない、などと真剣に心配したものだが(やはり僕はそうとう重症のヒポコンデリーだったのだ)、罪なテレビドラマである。