4万円の電気代をめぐる幸福な兄弟の対話

■都内某所のCAFE VELOCEでホットカフェラテを飲みながら中井久夫の本を読んでいたら、隣に兄弟と思しき50代白髪混じりの男性二人が向かい合って座り、まどろっこしい議論を始めた。どうやら弟の方の経営する小さな会社が森ビルのオフィスビルに入っているが、ビルの管理会社経由で請求される毎月の電気料金が他のテナントに比べて桁違いに高額であることに最近気づいたようで、それを兄に相談しているのだ。
社内で使っているパソコンなど事務機器の消費電力を足し合わせてもそれほどの高額になるはずがない。兄は電気メータが弟の会社が借りている事務所部分だけの使用量を指しているなら、請求書は弟の会社に直接来ているはずだ、請求書の内容をチェックできないのかと言い、弟は電気メータは鍵を持っている担当者しか見られないので、自分が直接読んだわけではない、請求書のコピーは管理会社に言えばいくらでも見せてくれるだろうと言い、すると兄はそのビルには親メータがあって、弟の会社のメータは子メータであり、電気料金は親メータの読みで決まっており、テナント各社へ子メータを規準に配賦しているのだろうと言い、弟は電気代が月4万円もかかっているのだと言い、30分近く真剣に話し合っていた。月たった4万円の事務所の電気代をめぐって、あれほど真剣かつ全くかみ合わない議論ができるとは、僕も50代になったらあんな幸福な人間になれるだろうか。