順法精神の欠如をまだ自覚できない某メーカ

■勘のいい読者はすでにお気づきのように、このホームページの筆者は最近4度目の転職をして数週間前から5社目の企業に勤め始めている。今回の転職は仕事内容に関する理由からではなく、コンプライアンス上あまりに問題が大きすぎる企業で働き続けることに困難を感じたからだ。
もちろんそのために業績が悪化し、ドイツ資本の企業との提携で生き残りを図ったが失敗したという業績面もあるが、最近分社された事業部門で3年前に続いて再び法令違反が明るみに出、さらに今日、本体の方でまたもや大規模な違法行為と長年にわたる隠蔽が明らかになった。
今日の報道を聞いたときは文字どおり空いた口がふさがらなくなると同時に、退職を決意した自分の判断は正しかったと確信した。そして同じ過ちを繰り返すことでブランドを汚す彼らに怒りを感じた。やはりこの会社には根強い法令軽視の社風があったのだ。
退職する直前、たまたま個人情報保護法の対応策を話し合う本部内の会議に参加したのだが、その席で配布された資料にこの法律に関する明らかな誤りが数か所見つかったので、即座に指摘した。するとその資料を作成した担当者の上司が、あろうことか僕に対して大声で怒鳴ったのだ。「細かい字面にこだわるな!」と机を叩いて、である。
彼としては3年前の違法行為が念頭にあり、この法律に対応しようとやる気になっている部下の努力を無にしたくなかったのだろうが、そもそも法律に関する資料を事前に法務部にチェックもさせないようではコンプライアンス以前の問題だ。部下をかばうという身内の理論を無意識のうちに優先させていることに、この上司はまったく気づく様子がなかった。このような社風が疑問視されない限り、この会社は違法行為を起こし続けるに違いない。
ちなみに怒鳴られた一件をコンプライアンス室に相談したところ、部内のコンプライアンス責任者にまず報告して欲しいとのことで、つまりはささいな問題だという認識だった。コンプライアンス室としては、じっさいの違法行為に関する内部告発でない限り対応はとれないというのだ。違法行為を未然に防ぐのがコンプライアンス室の責務ではないのか。すでに起こっている違法行為を明るみに出すという当たり前のことさえ、わざわざコンプライアンスと呼ばなければ実行できないところまで、この会社の遵法精神は失われていたのだ。
この会社で働き続ける人々は、残念ながら組織の一員として遵法精神を疑われても仕方がない。個人の信条として組織ぐるみの違法行為に加担する意思がなければ、できるだけ早く辞表を提出するのが人間として正しい生き方だろう。