日本での転職には(ニセの)「愛社精神」が必須

■話はまったく変わるがこれまで三度転職して二十社以上日本企業の中途採用面接を受けた結果分かったのは、殆どの日本企業が中途採用者にその企業で定年まで勤続するだけの愛社精神を求めているということだ。面接で必ず質問されることの一つは「なぜウチの会社を選んだのですか」ということだ。この質問に対して決してこの会社にこだわっていないという主旨の事を答えればその時点で面接官の判断は不採用になる。
確かに企業が中途採用者に求めるのは即戦力になる能力だが、同時にもし本当に能力があればそれを同業他社に譲り渡したくないという希望も持っている。中途採用活動には費用がかかり、その企業特有の社内事情を学習するのにも費用がかかる。新卒で採用して育て上げた生え抜き社員同様、中途採用者についても企業は可能な限りの勤続を規模するのは費用対効果を考えれば当然だ。
特定の会社へのこだわりを持たないために転職活動で失敗を繰り返した僕は、愛着を持てなさそうな企業には最初から応募しないと決めた。面接官にその企業に対する執着心を感じてもらえなければ、いくら高学歴で英語が堪能で仏語が読めてSAP R/3の経験があっても、その企業にとっては魅力的な人材ではないのだ。
普遍的な能力が雇用に結びつくという考えは日本の労働市場では通用しない。MBAなど企業外の教育機関で習得できる普遍的な能力をいくら持っていても、日本で就職先を探す限り、個々の会社に対する愛着がなければ永久に職は見つからないと考えてよい。