老後の海外生活で身の程知らずのサラリーマン

■以前、無茶なマンション購入のことを書くきっかけになったテレビ東京『大丈夫!?わが家の財産』というとんでも番組で、今日は年金生活を海外で送る夫婦が紹介されていた。
フィリピンのコンドミニアムで、住み込みメイド付き・運転手付きながら月20万円で生活している夫婦だが、実は毎月5万円以上の貯金を取り崩して生活している。例によって夫婦はファイナンシャル・プランナーに指摘されて始めて、あと3年で貯金がなくなることに気づく。すました顔でとりつくろう奥さんの笑顔がはた目に痛々しい。
そもそも組織の寄生虫であるサラリーマンは、生活設計能力など税金を源泉徴収されるようになった瞬間から奪われている。それにサラリーマンなんて、日本の生活でいかに自分が会社や国に助けてもらっているかということに無関心だ。退職後の海外生活でそれに初めて気づいただけでも、海外生活をした価値はあるだろうが、テレビに登場した夫婦はたぶんまだ気づいていないだろう。
そしてその夫婦の家計を改善しようと、ファイナンシャル・プランナーは、簡素な賃貸住宅に住む別の日本人老夫婦を紹介する。この夫婦は食材を地元の市場で買いだめし、メイドも運転手も雇わないという質素だが普通の生活。質素に生活しさえすれば、海外での年金生活も夢ではありませんというのが番組のメッセージだが、とんでもない。
番組の中で紹介されていたように、そもそも日本に比べて物価の安い国は、だいたいインフレ率が高く、政情も不安定だ。日本から送金される年金はインフレのせいで勝手に目減りしていく。しかも、番組に登場した夫婦はどれもまだ60代だからいいようなものの、これから70代、80代になって本当に医者にかかりきりになったとき、健康保険が使えず、医療費は全額本人負担になる。貯金を取り崩しているかどうかなんて、これからのフィリピンのインフレ進行や医療費の全額負担、政情不安や治安悪化のリスクにくらべれは、とるにたりない問題ではないか。
経営者として財産形成してきたのならまだしも、サラリーマンなんていちばんリスクに鈍感な人種なのだから、若くもないのに海外で生活できると思うこと自体がどうかしている。サラリーマンはよく言われるように、会社の中の地位が高くなると、まるで自分がひとかどの人物であるかのような勘違いをしがちで、自分にない能力まであると思い込んでしまう生き物だが、海外で年金生活を送る人々はその典型と言えるだろう。
僕もサラリーマンとしての自戒をこめて、「サラリーマンは身の程を知ろう!」ということだ。ついでに言えばこの番組中では「厚生年金が毎年上がっていく」と解説されていたが、正しくは「厚生年金保険料」だろう。いかにいい加減な番組かがよくわかる。というより、司会がみのもんたという時点で、こんな番組見ちゃいけないのだが、テレビをたれ流しながらドイツ語の勉強をしているもので、ついついネタにしてしまった。