制約性理論をホワイトカラーの職場に応用

■お風呂の中でまだ風邪気味のぼんやりした頭で制約性理論のことを思い浮かべていた。皆さんご存知のように制約性理論というのは数年前日本でもベストセラーになった『ザ・ゴール』という小説仕立てのビジネス書で紹介された製造工程の全体最適化についての考え方で、ボトルネックになっている工程の能力を100%活用することだけに集中し、それ以外の工程はフル回転させてはいけないという、ごく当たり前のことを言っている。
これをホワイトカラーの日常業務に当てはめることもできる。あなたが働いている組織の中で、いつもきまってボトルネックになる部署というのがきっとあるはずだ。その部署の仕事が進まないから業務全体がとどこおるという部署である。制約性理論によれば、その部署以外の部署で働いている人は、絶対に人を100%使い切ってはいけないことになる。
もしそんなことをすれば、ボトルネックになっている部署の前に「仕掛品」の山を築いてしまうことになる。ボトルネック部署以外の部署は、絶対に全力投球してはいけないのである。そのボトルネック部署は、いつもきまってボトルネックになる必要さえない。特定の業務、たとえば年度計画の作成業務とか、経理システムの開発業務などの業務ごとに考えたときに、特定の業務についてはかならずボトルネックになるというだけでよい。
そしてあなたの部署がそのボトルネック部署に対してなんらかのアウトプットを提供しているということ。あなたの部署が逆にアウトプットの提供をうけていようがいまいが関係ない。
このような条件がととのっている場合、あなたの部署は絶対に全力投球してはいけない。生産ラインとちがって、ホワイトカラーは残業でいくらでも過負荷に対応できるので、あなたの部署が全力投球しつづけると、ボトルネック部署は本来やる必要のない残業をつねにやらなきゃいけないことになる。
結果として全社員が一生懸命がんばっているようなことになり、とってもよさそうな感じだが、じっさいには組織全体で非効率なことをやっている。もしあなたの部の部長が年頭のあいさつで「今年も全力でかんばりましょう」みたいなことをしゃべったら、制約性理論をつかって反論してみよう。
「部長も『ザ・ゴール』の制約性理論をご存じだと思いますが、ボトルネックでない部署が全力投球すると、かえって全体の効率を悪くしますよね」という具合に。そんなことを風呂につかりながら考えていたのだが、すでに僕の頭の中は正月休みモードから仕事モードに切り替わっているかもしれない。