年の瀬の珍事件、Amazon.comの誤配

■玄関のモニタフォンが鳴ったので受話器をとると、画面には二十代らしき女性が映っており、「郵便です」と告げた。おそらくAmazon.comに注文していた英独対訳のドイツ語短編小説集が届いたのだろうと予想はついたが、それにしても郵政公社は経費節減のために、年賀状の配達だけでなく、ふつうの小包の配達にも学生を、それも女子学生を雇うようになったのかと玄関の扉を開けたら、ダンボールを抱えているのはやはりどう見ても女子大生で、それは安っぽいがセンスのいいモノトーンの服装でわかるのだが、郵便配達ならせめて制服の上着くらいは貸してやったらどうかと思っていたら、手に抱えているダンボールの口がすでに開いている。
「わたしもアマゾンに本を頼んでいたんで知らずに開けたんですけど、よく見たらこちらのあて先になっていて、まちがって配達されたみたいなんですけど、郵便局に連絡するよりもってきたほうが早いと思ってもってきました。かってに開けちゃったんですけど、中身はだいじょうぶですか」。
はぁ、そういうことですか。中身はちゃんと僕の注文したペンギン・ブックスの『PARALLEL TEXT : Deutsche Kurzgeschichten 1』と、ドーヴァー出版社の『Five Great German Short Stories : A Dual-Language Book』が入っている。納品書にはたしかにうちの住所が印刷してある。推測するに、郵政公社の職員は配達先を間違っていなくて、おそらくAmazon.comの倉庫から出荷されるとき、出荷作業をしたアメリカ人には、この女子大生の住所とうちの住所の区別がつかなかったため、ひとつのダンボール箱にまとめてしまい、表面には女子大生の住所を貼り付けてしまったのだろう。
みなさんもAmazon.comに注文した洋書がなかなか届かないときは、わずか一、二日の差で、たまたまあなたの近所に住んでいる人がAmazon.comに本を注文し(本以外の商品なら別の方法で梱包しなければならないので、同じ出荷担当者が一つの箱にまとめてしまう間違いは起こらないだろう)、そちらの住所にまとめて配達されてしまっているという可能性を考えた方がいい。年の瀬に起こった珍事件だった。