小島信夫・保坂和志往復書簡集『小説修業』

■保坂和志の『カンバセイション・ピース』が『プレーンソング』に比べて理屈っぽいという文句を書いたが、彼と小島信夫の往復書簡集『小説修業』(この題名は通勤電車の中で読んでいると、いかにもいっちょ小説で当てて脱サラしてやろうというあさはかな会社員に誤解されそうなので単純に『保坂和志・小島信夫往復書簡』などニュートラルな題名にして欲しかったのだが)で小島信夫が初期の保坂作品では保坂和志は「身をやつしている」と指摘していることで納得がいった。
保坂和志は初期の小説を意図的に自分が考えているすべての幅で書かずにいたということらしい。それにしてもこの往復書簡集での小島信夫はすごすぎる。高橋源一郎が、小島信夫は書く文章が自動的に小説になってしまうのでぜったいにマネできないと言っていた意味がよくわかる。書簡なのに小説になっているのだから。