続・無茶な住宅ローンを抱える愚かな夫婦

■昨日の日記について読者の方から、「あの夫は『(銀行を)2・3回ってみたけれども、収入の面から審査が通らなかった』と番組中で語っていたのだから、ローンの内容を知らなかったわけではない。だから借りた本人がローンの内容を知らなかったということを根拠に、出演者である夫婦を『愚か』呼ばわりするのは間違っている」というご指摘を頂いた。
しかし収入の半分以上をローン返済に充てる計画を立てることの愚かさに比べれば、ローンの内容を知っていたか知らなかったかなど取るに足りない問題だ。たとえローンの金利構成を知らなかったとしても、それ以前の問題として自分の手取り収入の半分以上がローンの返済にもっていかれる事態を「おかしい」と感じないのは「愚か」としか言いようがない。
さらにあの夫が番組中で「銀行を2、3回ってみた」と言っていたのは、住宅ローンを借りる前ではなく、自分でも借り換えの可能性をさぐってみたが、2、3訪ねたどの銀行からも借り換えを断られた、という文脈だった。番組に出演する前からこの夫婦は自分たちの住宅ローンがとんでもないものであることに気づいており(だからこそ番組出演に応募したのだろう)、少なくとも借り換えによって金利負担を軽減しようという努力はしていたことになる。
しかし夫婦が「何かがおかしい」ということに気づいたのは、返済が苦しくなってきてからであり、独身時代の夫がマンションを購入した時点ではローンの内容について無知だったと推定することに、それほど無理はないと考える。仮に購入時点で問題があることに気づいていれば、自分がそもそも有利な金利への借り換え審査に合格しないことを知っているはずであり、今になって借り換えの努力などしないはずだからだ。
こんな下らない理屈をここにくどくど書くまでもなく、まさに他山の石で、たいした事前調査やローンについてのお勉強もせずに3000万円もの借金などすべきでないという教訓を読み取れればよいと考える。もちろん僕の読者にそんな不用意な人はいないだろうが。
■ついでに言えば、たしかに僕は以前からローンを抱えてまで自分が住むための住宅を購入するのことに対して否定的な意見を書いているが、それは自分の収入に不相応なローンを抱えてまでそうすることに対してであって、住宅を購入することは何が何でも悪いと書いたわけではない。昨日の番組の夫婦(厳密に言えば夫の方)は明らかに収入に不相応なローンを抱えているのであって、僕が自分の意見の一貫性を重視するなら、当然批判されるべき対象である。つまり、僕はマンションを買った人全員を批判したいわけではないので、その点はどうか誤解なされぬよう。
■昨日の番組について僕がもう一つ考えたのは、住宅金融公庫はなぜこんな無分別な人に、1000万円以上の借金を負わせてしまったのかということだ。この夫よりも住宅金融公庫の方が、借金については(おそらく)より多くのことを知っているはずで、もしそういった知識に加えて住宅金融公庫にひとかけらの良心があれば、あえて「あんたみたいな人はこんな巨額な借金をしちゃダメ」という結論を出すべきではなかったか。以前このページでも『日経ビジネス』の記事を引用しながらふれたことだが、これこそ土建業界と官僚の癒着の典型例であって、民間ならまさに7%もの金利でなければ貸せないような人物に、住宅金融公庫は「ゆとり返済」だか何だか知らないが、目先は有利な金利で1000万円以上の借金を負わせ、結局その金はマンションを建てたり売ったりしている企業へ流れていくわけだ。ひとつのたとえとして、無知な消費者を経由して、間接的に建設業者や不動産業者に融資している、とさえ言ってもいいのではないかと考える。