甘やかす老人・甘やかされる子供

■都心へ向かう電車に座っていたのだが、ある駅に到着すしたとき隣の老婦人があわてて立ち上がったので、体の不自由な人か老人かが乗り込んできたのだと思ったら、入れ違いに座ったのは小学校中学年くらいの少年だった。その少年に付き添っていたのは、いましがたあわてて立ち上がった老婦人と同年輩の老夫婦。「真っ直ぐ座りなさい」と、おそらく祖父であろうその老紳士がさとしても、少年は無視して僕の方へ体をもたれさせたままだらしなく座っている。無視されても老夫婦はにこやかに少年に話かけ続け、少年は無視しつづける。
見ず知らずの少年の姿を目にするや立ち上がった老婦人と、孫を甘やかし放題の老夫婦、そして甘やかされるのが分かっていて両親に子供を預ける少年の父母、これらの大人たちに存分に可愛がられ、大人たちに自分の欲望を否定されることなく成長していく少年が成人したとき、いったいどんな人間になっているのか。
こうして自閉的な人格が一人また一人と生産されていくのだと、うすら寒く感じた...などと書くと読売新聞のコラムのようだが、本当に少年を甘やかし放題の老夫婦は馬鹿ではないかと思ったのだ。彼らが少年の将来を本気で心配しているなら、電車の中で隣に座っている人間に体をもたせかけて足を組んで座り続けることが、あまり望ましいことではないことを少年に分からせ、行動も直させるべきだと考えるのはおかしいだろうか。