野坂昭如『エロ事師たち』『アメリカひじき・火垂るの墓』

■やや忙しい読書生活ではあるが『Why Smart Executives Fail』のM&A失敗事例の章を読みながら、並行して野坂昭如『エロ事師たち』『アメリカひじき・火垂るの墓』(いずれも新潮文庫)を読んでいた。
『エロ事師たち』は猥雑なのに下品ではない不思議な小説で独特。澁澤達彦が解説を書いているのでそれも合わせてご一読を。『火垂るの墓』はやたらと感傷的なアニメと違って延々と歪曲して続いていくような乾いた文体だが、それでも読後は気分ががっくり落ち込むほど胸に迫る。
『アメリカひじき』は『火垂るの墓』と『エロ事師たち』の中間より『火垂るの墓』より。いつ回想になったのかうっかりすると分からないほど多重の回想を駆使した短編で、読ませる文体であることは確か。この二作、なぜ芥川賞でなく直木賞だったのかよく分からない。新たに図書館からスタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』、島田雅彦『そして、アンジュは眠りにつく』、笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』を仕入れてきた。