最近考えることなのだが

■最近考えることなのだが、ある企業が抜本的な改革を必要としていると言っても、それまでやってきたことのすべてが不適切だったわけではない。企業が存続していること自体、それまでやってきたことが部分的には適切だったことの証拠だ。ところですべてにおいて適切なことしかやらない完全無欠な企業などというものが存在するだろうか。答えは否だ。だとすれば、根本的な改革を迫られている企業とそうでない企業の間に、本質的な差異は存在しないことになる。さて、もし抜本的な改革を迫る側が自分たちのやっていることの適切さを強く主張し、改革を迫られる側が完全に従ったとすると、その企業はそれまでやってきたことのすべてを失うことになる。これはその企業がアイデンティティーを失うことに等しい。その企業が企業でなくなることによって、確かにそれまでに存在した問題は雲散霧消するかもしれないが、その代わりに新たな問題を抱えることになる。どんな企業も完全無欠ではないからだ。だとすれば、改革の圧力に完全に従うことによって、必ずしもそれまでよりも良い結果が期待できないことになり、完全に従うという選択肢は選択に値しない。むしろあえて改革の圧力に抵抗する選択肢のほうに価値があることになる。というのは、その企業のアイデンティティーと新しい制度や組織を並存させることで、それまでよりもより良い結果が期待できるからだ。完全に服従するという選択肢は、すでに他の場所にあった秩序をありのまま導入するだけだから、より危険性が少ない代わりに見返りも少ない。抵抗することで不完全に服従するという選択肢は、どこにもない秩序を新しく作り出すことになるので、より危険性が大きい代わりに、成功したときの見返りが大きい。そう考えてくると、あえて改革に抵抗し、部分的にしか新しい秩序を受け入れないという態度は、勇気が必要な困難な選択だということになる。まして完全な抵抗が不可能で、近い将来いずれにせよ改革を受け入れなければならないことが分かっている場合には、なおさら困難である。改革に対する抵抗という力学がはらんでいる可能性にももっと注意を払うべきなのかもしれない。