最悪のイタリア料理店「バール・デル・ソーレ」

■先日、六本木ヒルズをオープン直後に訪れたのだが、敷地内のレストランがどこも長蛇の列で、止む無くけやき坂近くのバール・デル・ソーレという「イタリア風の本格的なバール」に入った。
ところがこれがとんでもない食わせ物のイタリア料理店だったのだ。席に着くとテーブルに親指の先ほどの白いクリームが粘り着いたまま拭かれもされない。ウエイターが注文を取りに来るまで、なんと正確に20分間も待たされた。へらへらと馬鹿っぽい笑顔のウエイターに何度手を上げても、他の客が何故か優先される。
ちなみに一人で入ったのではない。「カップル」で入ったのだ。ようやく別のウエイトレスがやっと注文を取りに来たのは、すぐ隣の席につい先ほど座ったばかりの女性客二人の後である。彼女たちは入店するや否や注文を取られたのに、なぜ僕らは20分間も待たされたのか不明である。僕が韓国人にでも見えただろうか。四畳半住まいの貧乏学生にでも見えただろうか。
まあ韓国人や貧乏人を馬鹿にするならするがよい。注文から料理が出てくるまで待たされるのはまあ良い。出てきた料理もそれなりの味だったが、20分間無視されつづけた屈辱を晴らすには程遠い味だったことは間違いない。
しかもデザートのジェラートを完全に忘れられていたので、先ほど注文を取りに来たウエイトレスをやっとのことで呼びとめて確認したところ、こともあろうに彼女は視線をそむけて、さも不愉快そうに「はいわかりました」と言い捨て、まさに「捨てる」という動詞がぴったりの投げやりな態度で戻っていったのだ。
この「バール・デル・ソーレ」は埼玉大学教育学部を卒業した人間2人が経営する株式会社フォルトゥーナの展開する店舗の一つで(しかしホームページ上の経営者紹介になぜ埼玉大学という卒業大学の名前が必要なのか。しかも1人は日本アイビーエムの勤務歴まで書かれているがイタリア料理店の経営と何の関係があるのか。関係があると言うなら客を20分間も待たせない最新鋭のオーダ処理システムでも導入したらどうか)、他にも「カフェ・デル・ソーレ」という名前の店舗を、経営再建中の「そごう」横浜店、神戸店、西神店にも出店している。
専務取締役の横山千尋という人物はミラノで修行してイタリア本国から日本人で初めて「バリスタ」の認定を受け、各種メディアに取材された実績があるという。日本初のバリスタを専務取締役に迎えているわりに、経営再建中のそごうにしか出店させてもらえないのは誠にお気の毒様である。しかし日本初だの取材実績多数だの、こうしたステータスめいた御託をいくら並べても、店員が客を鼻であしらうのでは何の説得力もない。こんなひどい店が近くにあるがために、心象を悪くさせるようなとばっちりを受けた六本木ヒルズにもご愁傷様としか言いようが無いが、そもそもこれが麻布・六本木というバブリーな街の体質なのだろう。
この種の勘違い名誉白人体質の人種がひしめいてるから、六本木という街はどうも好きになれないのだ。これだけ「バール・デル・ソーレ」と繰り返し書いておけば、Google検索にもちゃんと引っかかってくれるだろう。偶然このページを読んだ株式会社フォルトゥーナのスタッフにお伝えしておくが、このWebサイト「think or die」の読者はそれなりのインフォーマル・リーダ(=表立った地位・位階を持つわけではないが、仲間内では高い教養や見識のある人物として尊敬されている人のことをいう社会学用語)たりえている人々ばかりである。
『dancyu』や『東京一週間』から繰り返し取材を受けたのを喜ぶ「メディアの犬」根性を持つのは勝手だが、雑誌記者は人でも、僕のようないちげんさんは犬以下ということか。それとも注文も取らずに客を20分間待たせるのが「スローフード」の実践とでも言いたいのだろうか。笑わせるならイタリアらしくもっとましな冗談にしてほしい。