電車の中で思わぬドイツ人

■会社から帰る電車の中でいつものようにMP3プレーヤを使ってドイツ語の勉強をしていたら、なんということかイヤフォンでないあらぬ方向からもドイツ語が聞こえてきた。プレーヤの音を止めて聞き耳を立てると「ganz」や「aber」、「alles」といった単語が辛うじて聞き取れる。たしかにドイツ語だ。
気づかれぬようそちらを見ると、若いドイツ人女性が二人、つり革につかまって雑談をしている。一人は典型的な赤毛でストレートのショートカット。もう一人は大きなウエーブのかかった真っ黒のロングヘア。ロングヘアの彼女はフランス語版『マリ・クレール』に登場してもおかしくないスーパーモデル風のシャープな顔立ちだったが、二人とも背はせいぜい160cmくらいだった。
郊外へ向かう電車で都心からすでに1時間離れているようなところに住んでいるドイツ人女性とは一体なにを仕事にしているのか。手にはカレンダーのような厚手の紙でできたA3サイズくらいの大きさの、まったく同じ薄い冊子を二人ともビニール袋に入れて下げている。二人はすでに埼玉県に入った同じ駅で下車した。電車の中でドイツ人に出くわしたのは初めてのことだ。