高杉良『金融腐蝕列島(上)(下)』

■高杉良『金融腐蝕列島(上)(下)』(講談社文庫)を読み終えた。主人公の竹中が総会屋対策や不良債権の回収業務を担当することで、日本金融業界の闇の世界に巻き込まれる。登場人物の人間関係に一貫した流れはあるが、オムニバス的に「悪のショーケース」といった様相を呈する。
フィクションには違いないが、むしろドキュメントとして読めた。銀行員のようなリスクの高い仕事は高給でなきゃやってられないのかもしれない。つくづくシステムエンジニアは平和な仕事である。不良債権というバブルの負の遺産を一掃するのがいかに困難か、暗澹たる気分が残った。
ちなみに佐高信の解説によれば、この小説の主人公とたまたま同名の現大臣、「一月一日に日本にいなければ住民税を払う必要がないとして、竹中は八年間に八回の住民票移動を繰り返した」り、「彼はこの会社(=日本マクドナルド)を将来性があるとし、そのためか、未公開株を”適正な価格”で受け取った。
同社はその後上場し、株価もハネあがったわけだが、リクルート事件で大問題になったこのやり方を竹中は踏襲している」とのこと(同書下巻377ページ)。参考までに引用しておく。ところで僕の冬休みの読書予定、堺屋太一『団塊の世代』、夏目漱石『門』、あとは明治文学をいくつか読んでみたいと思っている。