忙しいときはお互いさま

■忙しいときはお互いさま、自分の職務分掌外のことも進んで手伝うのが会社員としての「美徳」である、というのが日本企業で働く会社員の通念のようになっているが、この考え方が有効なのはそれぞれの社員が本業での責任をまっとうしている限りにおいてだろう。しかし他人の仕事までカバーする結果、本業での責任があいまいになるだけでなく、誰も責任をとれない組織になってしまっているというのが実態ではないか。その結果として犠牲になるのは効率性だ。
■官僚的な組織を変革する場合、組織横断的な制度の整備から始めるか、硬直的な業務フローを抜本的に変革するいわゆるBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)から始めるか、制度や業務フローはどうでもいいからとにかく決められた結果を出すよう確約させるコミットメントから始めるか、いろいろ手法があるだろう。おそらく今書いたのはソフトな手法からハードな手法の順番、言い換えれば長期戦から短期戦の順序だ。日産の改革はおそらく制度や組織よりも、プロセスは不問にしてとにかく結果を出すことに重点が置かれた、短期戦の改革ではなかったかと想像する。それに対して全社的な制度の整備や標準化に重点を置くのは、長期戦でかなりソフトランディングなやり方ではないかと考える。結果として長期にわたって成果の定着する改革はどちらなのか、まだ答えは出ないが、企業の存続がかかっている場合には短期戦の方が間違いなく適した手法だと考える。