『サンデーモーニング』の牛肉買取偽装問題報道

■やはりTBS系『サンデーモーニング』のディレクターはさまざまな問題に関する洞察力のレベルが低いようだ。日本ハムの牛肉買取り偽装問題について、消費者の日本ハムに対する怒りの声に焦点を当てていたが、本質的な問題点を完全にはずしている。
狂牛病騒動に対して農水省が300億円の税金を投入して買取り制度を導入したが、当初買取り申請に必要だった牛の解体証明書を族議員の圧力で不要にするなど、農水省は偽装を許す方向に制度を意図的に甘くしたのだ。農水省がわざわざ抜け穴を用意することで、業界に対して買取り制度を悪用するように教唆したと言ってもよい。
逆説的な言い方をすれば、業界最大の日本ハムがその教唆に乗らないのでは、せっかく抜け穴を用意させた族議員の顔が立たない。そこにあるのは政・官・業一体の八百長試合であって、「消費者の信頼を裏切った日本ハム」という部分だけを切り出すのはとんだ検討違いだということがわかるだろう。
日本ハム製品を撤去する小売店もその検討違いに流されているだけということになる。というのは日本ハムの偽装は「本来安全な牛肉まで政府に買い取らせた」というものであり、BSEのおそれのある範囲以上の牛肉を余分に処分したということだ。つまり日本ハムの販売する製品は制度の悪用によって「必要以上に安全になった」ということなのだから、消費者に対する食肉の安全性を基準にするなら、日本ハムの製品を撤去するのは理にかなっていない。果たして単なる社会的制裁という意味で小売店が自主的に日本ハム製品を撤去するのは正しいことだろうか。
あるテレビ番組で高田万由子が指摘していたのだが、結果として撤去された大量のハム・ソーセージは食肉として何の問題もないはずなのに処分されてしまう。むしろ小売店は日本ハム製品を販売しつづけ、購入するかどうかの判断は消費者にまかせるのが正しいやり方ではないのか。
安全なハム・ソーセージが単に日本ハムという一企業を社会的に制裁するためだけに大量に処分されるという「ぜいたく」について、僕ら日本人は責任を感じなくてもよいのだろうか。こういう「ぜいたく」といった感じの切り口の方がよほど『サンデーモーニング』らしいと思うのだが、おそらく同番組のディレクターは所詮バラエティーのディレクターなのでそこまで考える洞察力がないのだろう。あるいはTBS全体の報道力が低下しているということか。