片岡義男『スローなブギにしてくれ』

■片岡義男『スローなブギにしてくれ』(角川文庫)を読んでいる。高橋源一郎の『小説教室』の推薦図書になっていたからだ。片岡義男の初期短編集で、2001/07にニューエディションで出版されている。
『スローなブギにしてくれ』が最初に文庫化されたときとは、最後の2つの短編がちがっている。彼はこの本の解説に興味ぶかいことを書いている。収録作品には断絶があるというのだ。その断絶は『モンスター・ライド』とそれ以外の作品のあいだにある。1975年に野生時代新人賞を受賞する前か後か、つまり、コミックスのように小説を書くようになる前と後だ。
でもそれは小説のストーリーのことを言っている。『モンスター・ライド』だけは十代の読者が感情移入できるようなストーリーがなく、『スローな』は青春小説だ。でも片岡義男が『スローな』を書いたのは35歳のときだ。35歳のオッサンが十代の不良少年と不良少女のラブストーリーを書くのはとても不自然だ。しかも文体は『モンスター・ライド』と変わっていない。ほとんど心理描写がない。感覚的な描写が短い文でつみかさなる。他の小説もそうなのか、もう少し読んでみたい。
葛西善蔵と片岡義男の読後感をわざわざ文体を変えて書くというのもなかなか疲れるものだ。