銀行システム障害で日経の的外れな批判

■金融庁によるM銀行に対する業務改善命令が出たが、これに関する日本経済新聞の社説がやや的を外している。「システム障害を起こした原因で最も深刻なのは、システム管理担当者が真の情報を経営陣に伝えていなかったことである。都合の悪い情報がトップに入らなければ、経営のかじ取りは不可能だ」とあるが、真の情報が経営陣に伝わらなかったのは果たしてシステム管理担当者の責任だろうか。今回の処分でもCIOが辞任したが、これは単なるトカゲのしっぽ切りではないだろうか。
形式的にはシステムに障害が出たのだからシステムの最高責任者が責任を取るのは一見まっとうだが、今回のシステム障害はそもそもそうしたM銀行内の既存の職制による責任分担に限界があったからこそ起こった障害だ。つまりシステムの責任はCIOが取るものであり、経営陣は我関せず、といった既存の職制が今回のシステム障害の原因であり、その原因を除去しない限り問題の根本的な解決にはならない。
にもかかわらずM銀行の処分も日経新聞の社説も、その観点は既存の職制の枠内にとどまっている。上記の社説は正しくはこう書かれるべきであった。「システム障害を起こした原因で最も深刻なのは、経営陣がシステム管理担当者の報告の信憑性をチェックできる監査体制を事前に作っていなかったことである。監査体制がなければ都合の悪い情報がトップに入らないのは当然だ」。
企業統治では社外取締役などのチェック機能が大きな問題になるくせに、システムについてはCIOに対する監査は不要だというのだろうか。M銀行の処分や日経の社説の背後にある、こうした情報システム軽視の考え方こそ問われているのだが、どうやらM銀行も日経新聞もそのことには気づいていないようだ。