島田章『東京再興』

■明治初期の文学で読むものがなくなってきたので(もう名作を読み尽くしたという意味ではなく興味の引かれるものがなくなってきたというだけのことだが)、最近は仕事関係の本ばかり読んでいるような気がする。ここ3日間で2冊読んだ。
1冊は島田章著『東京再興』(日本経済新聞社、2002/05/24刊、1600円)。2003年問題とよく言われるように、来年、東京都心ではバブル期を超えるオフィスビルの大量供給が発生する。そのため賃料下落による不動産各社の業績悪化が懸念されているが、それに関連して都内の各所で進められている都市再開発を日経新聞の記者がレポートした書物だ。たまたまタダで手に入ったから読んだだけなのだが、新聞記者の書き物らしく簡潔かつ無難にまとまっており、日経の記者らしく民間事業者の都市再開発による「東京再興」に肯定的な(政治的に言ってしまえば「右」の)立場で書かれている。
ただ、前半の大部分が森ビルに割かれているわりに三菱地所や三井不動産の扱いが小さすぎてアンバランスに過ぎる印象だ。たしかに財閥系不動産に比べれば経営者の個性が強烈で膨大な有利子負債をかかえて派手な事業展開をしている森ビルは記事になりやすいのだろうが、なぜ同業他社が森ビルのような根気のいる再開発事業に手を出せないのか、その構造的な要因の分析にもっと記述を割くべきだったのではないか。これでは単なる森ビルのPR本だ。