エブラヒム・フルゼシュ『石油地帯の子たち』

■NHK教育でイラン映画『石油地帯の子たち』(2001年エブラヒム・フルゼシュ監督)を観た。1960年代の油田地帯に住む子供たちが主人公。借金を残して逃げた父親に取り残された、母と3人の子供が危険を冒して油田地帯に進入し、漏れ出した原油を組み集め、換金することで生活しようと貧困にもがく姿を、同じイランのキアロスタミ監督とは対照的にドラマチックで通俗的な筆致で描く。
子供が父親の借金の利子300トマンを返そうと、目も眩むような峡谷に架かるパイプラインを渡り切れるか、子供どうしで賭けをするラストシーンはハラハラドキドキ。渡りきれば30人の子供が10トマンずつ出した賭け金がすべて手に入る。渡りきれなければ峡谷に転落して命を失う。生命を賭して家族を救おうとする少年がパイプラインを渡りきった姿を監督が英雄としてクローズアップしたところで映画は終わる。
ロバを盗み、花を盗んでまで生活費を稼ごうとする少年の救いのない生活の描写は胸をしめつけられるが、意外にも大団円でスッキリする映画だった。しかし2001年でこのスタイルはちょっと時代錯誤か。だって新聞のラテ欄を見るまでは、てっきり1970年代の映画かと思っていたくらいなのだから。キアロスタミ監督の評価が世界的に高い理由がよく分かる作品。