坪内逍遥『小説神髄』『当世書生気質』

■最近の純文学系読書は樋口一葉以来、専ら自然主義以前の明治文学なのだが、徳田秋声『不如帰』を岩波文庫で読みかけたところが現代かな遣いのせいか気分が乗らず、近所の市立図書館で明治文学全集の第一巻、坪内逍遥を手にとった。まさに日本近代文学の幕開け、『小説神髄』と『当世書生気質』を並行して読んでいる。進歩主義的な文学観から写実主義を近代小説の原理であるとうたった『小説神髄』に比して『当世書生気質』は余りに戯作文学の影響が強く、失敗作とも言われるが、風俗小説としてはかなり面白い。地の文が無駄に七五調なのも笑える。明治文学全集第一巻がこんなに下らなくていいのだろうか。