書籍はテレビより高効率な媒体

■受動的なメディアの中でも読書の利点は消化の速度を自分で制御できるという点だろう。テレビや映画は時間の流れる速度を作る側が支配している。短いカットの積み重ねでテンポの速い映像にするか、長回しでゆったりとした映像にするかは作り手が決める。書物であっても芸術性の高いものは作家が時間を支配しているが、人文科学系の啓蒙的な書物はある程度読み手の理解能力が速度を決定する。
そういう意味でまどろっこしいのはテレビの教養番組だ。とくに最近嫌と言うほど目に付く健康番組。『クイズためしてガッテン』『特命リサーチ200X』『あるある大事典』などなど。専門書で読めば理解に十分とかからないような薄い内容をCMごとに視聴者をじらせて50分間にわたって放送する。
見ているほうは効率良く実利的な知識を吸収できたと自己満足してその実大変な時間のムダをしていることに気付かない。単位時間あたりに消化する情報量を自分で制御できる読書は実はもっとも効率の良い情報処理の手段なのかもしれない。