名古屋で生活していた頃

■名古屋で生活していた頃、FMラジオを聴きながら名鉄瀬戸線で小幡駅から大曽根駅まで通うのが常だった。ローカルタレントのジェームスという男がDJをつとめる番組の合間に流れるコマーシャルに、体育会系営業マンのガッツと誠実さをショートドラマ仕立てで伝える内容のものがあった。過剰な声優の演技に一般聴取者はイメージの良い会社だと感じたかもしれないが、僕はそのCMを聴くたびに不快に思った。それはちょうど某消費者金融のテレビCMでコールセンターの女性社員が「恋人のように親身になって」と言いながらわざとらしく赤面するのを目にしたときの言いようのない不快感に通じる。その名古屋のFMラジオのコマーシャルは「サワコーコーポレーション」という会社のものだった。今年8月に名古屋地裁に民事再生手続きを申請して事実上倒産した後に、株価維持のために粉飾決算を行っていたことが判明、社長以下3名が今日逮捕されたとか。当時は急成長の地元企業ということで名古屋では少なからず話題になっていた。そういえば以前出張で立ち寄ったことのある浜松の駅前で見つけた「松菱」というローカル百貨店。ローカルの割に重厚な作りの玄関で実は60年以上の歴史のある老舗だったらしいが、今年倒産したようだ。名古屋ローカルのベンチャー企業と、浜松ローカルの老舗の倒産。東京で生活している僕は棲んでいる業界が業界だけにまだ不況の深刻さに対する認識が甘いのかもしれないが、かつて生活したことのある中部圏ではここ東京で肌で感じる以上に状況は厳しいのかもしれない。