既存の業務を情報システムに載せることについて

■既存の業務を情報システムに載せることについて、それまで手作業だった工場の生産ラインが産業用ロボットによる自動化ラインになるかのような夢を抱いている人がまだいるということに驚きを禁じ得ない。今の情報システムあもはや大量の会計処理を高速で処理するというメインフレーム的な「自動化」のメリットだけで語りうるものではないというのは自明の理だからだ。メインフレームが企業の事務処理にもたらした「自動化」の恩恵という思考の枠組みから抜けられない人々は、業務プロセスをコンピュータでワークフロー化すればそれだけで何らかの効果がもたらされると信じているが、それは端的に間違いである。むしろシステム化の目的が自動化であった時代の後、ポスト自動化の時代に生きている僕らにとってコンピュータは人と人との心理的な距離や認識の乖離をなくすための広い意味でのコミュニケーションの道具である。ワークフローの目的は業務プロセスの自動化によってフローのスピードを速めることではなく、必要な情報を必要な人たちにゆきわたらせることで、社内のディスコミュニケーションを解消することなのである。ある業務を情報システムを使ってワークフロー化しようとするとき、まず考えるべきなのは社内の最適な情報流の設計、最適なコミュニケーションのあり方の設計、そしてそれを実現するのにもっとも好都合な制度や組織の整備であって、業務の流れの機微をいかに巧妙にプログラムのロジックで実現するかということでは決してない。ところが中途半端に情報システムのことが分かっている利用者部門の担当者は、きめ細かい業務の流れを巧妙に情報システムで実現する点に職人技的な喜びや感動さえを見いだしてしまう。ここにその組織のIT成熟度が端的に現れていると思う。
■フジTV系『笑う犬の冒険』の後番組『笑う犬の発見』には失望した。ひとことで言えば「脱・内村色」というのが同局の戦略だと思う。『冒険』はよく練られた脚本にもとづく名画パロディーあり世相風刺ありのシチュエーションコメディーに、堀健のナンセンスギャグ路線が適度にちりばめられて30代の視聴者も退屈しない濃密な1時間だった。ところが新番組の『発見』は完全にお子さま向けバラエティーになりさがっている。個々のコントも既存番組のパロディーに依存しすぎ、プロデューサの独創性のかけらもない。こんな風に視聴者をなめた番組づくりをするからフジTVは視聴率トップの座を日本テレビに明渡すことになるのだ。