『レクサスとオリーブの木』『外資と生きる IBMとの半世紀』『会社がなぜ消滅したか』

■つい最近トーマス・フリードマン『レクサスとオリーブの木』を読み始めたのだが、もううんざりしてきたので止めることにした。どうしてアメリカ人はこうも物事を単純化したがるのだろうか。単純化・図式化の度合いの点ではフリードマン氏が批判している『文明の衝突』と大差ない。
最初の50ページを読めば、残り500ページに何が書いてあるのか分かってしまうので、もう読む気力が失せてしまった。同じグローバリゼーションに関する書物ならジョン・グレイの『False Dawn』の方がよほど論点が繊細で面白い。
今朝のニュースを見ているとブッシュ大統領はイスラム圏の合意を完全に取り付けることなく報復攻撃を開始することで、結局は事態をテロ撲滅ではなく、キリスト教圏対イスラム圏という「文明の衝突」にしてしまったのではないか、という論評があった。たとえばテロの首謀者と見られているタリバンにも、対立する北部同盟へ寝返る兵士がいるという。
タリバンの一部の兵士はNATOが総力戦をやればタリバンを壊滅できるということを「グローバル」なニュースソースから知っているから、最初から負け戦をしたくないという判断になるのも無理はない。だとすれば真の「いぶり出し」(smoke out)作戦とは、今の米国がやっているような現実の武力による報復ではなく、経済支援を交換条件にしたイスラム諸国との政治取引や、草の根の反テロ活動を地道に報道することなどの情報戦によって、テロ勢力の実働部隊をひとりずつ寝返らせることではないかと考えるのだが。
そういうわけで『レクサスとオリーブの木』の代わりに元日本IBM社長・椎名武雄『外資と生きる IBMとの半世紀』(日経ビジネス人文庫)を読んだ。IBMという外資(そもそも「外資」という言葉が存在すること自体が日本の閉鎖性を物語っているとのことだが)系企業を日本のlocalizeさせるための困難な過程が、椎名氏の性格からか非常に「呑気」なタッチで描かれているアンバランスさが面白い本だ。
初めて知ったのだが、米IBMの創立当時から一貫するスローガンは「THINK」(考えろ)ということらしい。このホームページのタイトルは「think or die」。合理的な思考を徹底させた米IBMが、第二次大戦後、日本に終身雇用制度が根づく以前からすでに終身雇用制度をとっていたということは示唆的である。
そういうわけで『外資と生きる』も読み終わったので、今は読売新聞社会部『会社がなぜ消滅したか-山一証券役員たちの背信-』(新潮文庫)を読んでいる。夏休みの純文学読書月間が終わり、読書の秋はビジネス・ノンフィクション月間といったところか。