『笑う犬の冒険』のテレビならではの冒険

■表現方法の姑息さというテーマにからめて言えば、僕の最近いちばん気に入っているテレビ番組は『笑う犬の冒険』だ。昔からお笑い系のバラエティー番組が大好きなのだが、その理由はテレビ番組なんて作り物で低俗だという自虐を、うすっぺらな教養や教訓でごまかさないからだ。
例えば本当に歴史学や栄養学を学びたいのなら、専門書に直接あたって本物の知識を得るべきであって、テレビ番組の中で下手にダイジェストされたコンテンツで満足すべきではない。本当に人間の真実を考えたいなら、ヤラセとわかっているテレビのドキュメンタリー風バラエティーを面白がっている場合ではない。
そんな中でテレビというメディアの持つ皮相さや低俗さをごまかさず、あえてそこに向かって突き進むお笑い系バラエティーは、テレビを媒体として使う表現者として最も誠実な表現手法ではないだろうか。低俗なお笑いはテレビでしか得られないのだから、テレビはその低俗さやお下劣さを真摯に追求すべきなのだ。
本来なら専門書や純文学に求めるべき真実や真理といったものをテレビごときで満足させようというのなら、いっそのことテレビなど見ない方がいい。つまりテレビ番組の中でテレビを通じて視聴する価値のある番組は純然たるバラエティー番組だけなのだ。