情報システムの仕事に深入りすればするほど

■情報システムの仕事に深入りすればするほど、情報システムの導入がほとんど情報技術に関する問題ではないということが分かってくる。もちろんある仕様を実現するための技術は最低限身につけている必要があるが、いくらご立派なシステムを構築したところで使われなければ無意味だ。システム構築の設計・開発・運用の三段階でもっとも決定的なのは運用段階である。プロジェクト管理の教科書に沿えばシステム導入プロジェクトの成否の8割は計画の段階にかかっているが、設計・開発・運用の3段階をそれぞれ独立した個別のプロジェクトと考えれば、やはり最も重要なのは運用段階のプロジェクトだろう。システムの運用、言い換えれば、新しい情報システムがちゃんとその組織に定着するかどうかは、組織の構成員の一人ひとりがいままでの思考様式から抜け出せるかにかかっている。情報システムの導入は初めから終わりまで思考の変革の問題なのだ。世の中のあらゆる情報システム導入プロジェクトは、この点をあまりに軽視しすぎているのではないか。しかし、このことが真実だと認めるなら、かなり絶望的な立場に追い込まれることになる。いったい人の考えなどを変えさせることができるだろうか。それも相手は頭のやわらかい子供ではなく、すでに生活習慣の固まった大人だ。考えを根本的に変えさせることができないとすれば、結局問題の解決は「政治的」な手法に求められることになるだろう。つまり情報システムの導入は終わりまできたときには政治の問題になる、ということだ。