ロンドン旅行エッセーへの反響

■ロンドン旅行関連のエッセーについてさっそくたくさんの反響を頂いた。
ひとつは英国在住の読者の方から。英国の公共サービスの悪さについて左翼の政治家は民営化を批判したが、問題は民営化そのものではなく、業務を細切れに分社化してしまった民営化の手法にあるとのご指摘。その原因は労働組合の複雑な利害調整だろうとのこと。
いま先進諸国で労働組合は世界的に不人気なのだろうか。英『エコノミスト』誌はやはり「強すぎる労働組合」の問題を指摘しており、2001/03/17-03/23号でフランスと比較してドイツ経済成長の伸びが鈍っているのはあまりに労組寄りの政策で構造改革が進まないためだと明言している。この記事を読んだ後、ドイツで全産業を統一する巨大な労組が誕生したと日経で読んだ。
日本をふり返ってみても民主党が野党として国民の支持を集められないのは連合に縛られているためだとの論調が支配的。いちど会社の労組の関係で民主党候補の選挙事務所に駆り出されて「うぐいす嬢」ならぬ「うぐいす男」をやらされたことのある僕としては、やはり既成政党と癒着した労組という構図には良いイメージを抱けない。
おとなり韓国でもリストラに対する労組の過激な反対運動に断固たる姿勢を示す金大統領が欧米から一定の評価を得ている。この読者からのメールによれば英国は労働者の国。昨年末のFinancial Timesの統計によれば平均世帯収入は年収にして約400万円弱(日本は700万円前後)。それで物価水準は日本とほぼ同じなのだから「ゆりかごから墓場まで」の社会福祉サービスが充実している一方で、英国人がいかに慎ましやかな生活をしているか。
「New Labour」のブレア政権はそんな労働者たちを内側から改革しようとしているのだが…、とのこと。なるほど現地在住の方からのメールで説得力がある。2日間の滞在で僕が感じとったことは的はずれではなかったようだ。
それにしても夕方5時になったら残業もせずにスパッと帰宅する英国に対して日本経済がこれほど落ち込んでいるのはいかに日本のホワイトカラーが効率の悪い仕事をしているかということの証左ではないか。あるいは余計なことに時間と神経を使いすぎて、肝心の問題を迂回し続けていると言うべきか。一般的な日本人の関心の方向は完全に間違っている。
もう一人ロンドン在住の方から。イギリスでエスプレッソカフェが広まったのは本当にここ数年のことらしい。それまではマクドナルドとパブだけだったようだ。
僕がエッセーに書いたPRET-A-MANGER(プレタマンジェ。フランス語で「食べる用意ができた」の意味でpret-a-porter(高級既製服)をもじった店名)というカフェは日本進出するという話があるらしい。ドラッグストアのBootsはすでに進出を果たし、スーパーマーケット大手のTESCOも進出するらしい。
この読者は英国は日本でのイメージの良さで得しているだけだろうと英国流の皮肉たっぷり。確かにロンドンを旅行すると日本人はいったい何をあこがれているのだろうかと不思議に思う。やはりThe Beatlesとダイアナ妃が英国のすべてだと勘違いしているに違いない。