櫻井よしこ氏と米倉教授の対談

■先日、櫻井よしこ氏と一橋の米倉教授の対談を生で聴く機会があった。櫻井氏のメッセージは明解で、日本が国家として自立するには憲法を改正して自衛隊を正規の軍隊にしなければならないということ。教育問題については、戦後のゆとり重視・個性を伸ばす教育は完全な失敗で、小・中学生までは詰め込み教育、高校生になって初めて創造性を育てる教育が必要だということ。
それに対して学生時代左翼だった米倉教授は「聴講者の中には『今日はたいへんな右翼のオバサンが来たぞとお思いの方もいらっしゃるでしょうが』」と思い切った論評をしたが、自衛隊の合法化については文民統治を明文化する観点から米倉氏も賛成のようだ。
聴講者から民間産業と軍隊が協同で技術開発を進めることの副作用(兵器開発への加担)について質問が出たが、櫻井・米倉両氏の回答は「わたしたちは軍という言葉に変なアレルギーがある」と冴えない。両氏の共通点は世界を国家対国家の政治力学の場と見る点である。世界をそう見る限り「国家としての自立=軍隊を持つこと」という結論に達するのは当然だ。
一部の左翼や女性団体が平和を求めてきたのは、国民国家という既成の枠組み以外の観点から世界を構成できないかというalternativeの模索の過程だったはずでは?両氏の議論にはこの観点が欠けている。
結局、米倉氏はglobalizationを国家対国家の経済戦争(戦争という言葉が穏当でなければ「競争」)としてしか認識できていない。日本に構造改革が必要なのは確かだが、それは経済戦争に勝つためではなく、少数者の既得権を解除して最大多数の幸福を実現するためではなかったか。米倉氏まで櫻井氏に扇動されたようで、後味の悪い講演会だった。