シンプルさへの誘惑には抗しがたいものがある

■シンプルさへの誘惑には抗しがたいものがある。生活にせよ芸術にせよシンプルでなおかつ美しい(バランスがとれているという意味で)のがいちばんよい。人の生活も放置すると自然と複雑になる。無駄を殺ぎ落とす努力を怠ってはいけない。その人にとって何が無駄で何が無駄でないかを判断する基準となるのは、個々の人生全体のバランスだろう。ある部分だけが不必要に大きくなるのは何かが間違っていたり、何かが無駄である証拠だ。しかしそもそもバランス感覚、つまり全体のプロポーションにかんする審美眼が狂っていたり、シンプルであることに価値を見いださないのでは、僕らにとって人生は徐々に手に負えないものに変貌していくだろう。